経済産業省は「ロボットによる社会変革推進会議」の報告書を発表しました。この報告書は、ロボット産業を取り巻く環境の変化と、今後の施策の方向性を詳しく分析しています。以下、報告書の主要なポイントと具体的な事例を取り上げます。
世界のロボット産業の動向
世界の産業用ロボット市場は急速に拡大しています。2013年から2017年の5年間で、販売台数は2倍に増加し、今後も年平均14%の成長が見込まれています。特に中国市場の伸びが顕著で、2012年からの6年間で需要が約6倍に増加しました。2017年には、中国市場での年間需要が141,000台に達しています。
日本は世界最大のロボット生産国であり、世界のロボットの約6割が日本メーカー製です。しかし、1990年代には約9割のシェアを持っていたのに対し、現在はシェアが低下しています。特に中国市場では、日本製ロボットのシェアが2012年の65%から2017年には44%に減少しています。一方で、中国製ロボットのシェアは同期間に13%から27%へと倍増しています。
新たなプレイヤーの参入と技術革新
AIやIoT技術の進展に伴い、非製造業を含むベンチャー企業がロボット産業に参入しています。例えば、デンマークの大学発ベンチャーであるユニバーサルロボット社は、2005年の設立以来、世界で32,000台以上の協働ロボットを生産現場に導入し、世界シェアNo.1を誇っています。
また、米国のスタートアップであるStarship Technologiesは、自律走行型デリバリーロボットを開発し、食品や小荷物の配達サービスを提供しています。同じく米国のSavioke社は、自律走行型のデリバリーロボットを開発し、ホテルやオフィスでの物品配送に活用されています。
ロボットを活用した新たなビジネスモデル
ボットの活用は、生産性向上だけでなく、社会との新たなつながりを創出する手段としても注目されています。例えば、日本航空は高品質なサービス提供と働きやすい環境作りを目的に、アバターロボット「JET」を活用した実証試験を羽田空港で実施しました。このロボットは遠隔操作により、案内業務を行うことができます。
また、オリィ研究所は、身体的制約や距離を克服し社会参画を促進するため、遠隔操作で会話などのコミュニケーションが可能なアバターロボット「OriHime」を開発しました。このロボットは、NTT東日本でのテレワーク実証など、さまざまな場面で活用されています。
今後の施策の方向性
報告書では、ロボット産業のさらなる発展に向け、以下の施策が提言されています。
- ロボットフレンドリーな環境の構築:ロボットの導入を促進するため、業務フローや施設環境をロボットに適した形に変革することが重要です。これにより、サービスロボットの社会実装が進むと期待されています。
- 地域エコシステムの構築:中小企業へのロボット導入を支援するため、コンサルタントやシステムインテグレーター、金融機関などが連携し、地域全体でのロボット導入を推進する体制を整備することが求められています。
- 産学連携による人材育成:ボットの設計・開発や導入に関わる人材が不足している現状を踏まえ、産業界と教育機関が連携してロボット人材を育成する枠組みを構築することが必要です。
- 中長期的課題に対応する研究開発体制の構築:産業界が協調しつつ、アカデミアと連携して基礎・応用研究を推進し、革新的なロボット技術の創出を目指すことが重要です。
- オープンイノベーションの促進:世界中の多様な人材やロボット技術が集まる場を設け、オープンイノベーションを加速することが求められています。例えば、「World Robot Summit」などのイベントを通じて、新たな技術やビジネスモデルの創出が期待されています。
これらの施策を通じて、ロボット産業のさらなる発展と、ロボットを活用した社会変革が推進されることが期待されています。
引用元:
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/robot_shakaihenkaku/pdf/20190724_report_01.pdf
